英検準1級覚書

準1級対策はやるつもりがなかったのですが、図書館で『教本』と『全問題集』を入手できたので、計7回の過去問と本試験を経験しました。過去問を終えた時点で本番での留意点を書きとめたものを、ここに記しておきます。本番を受け、いくつかの改定しました。


英検のために準備したのは、上記2冊と『キクタン』という単語集です。『キクタン』は買ったものの、知らない単語が非常に多く、現在流通している過去問とデータベースが重なっているので使いませんでした。過去問を終えた後も、使わなくても合格に支障がないと判断し、使いませんでした。このほか、英検1級の過去問4回分と『教本』をやりました。


まずは、得点力に応じて座席を選びましょう。このほか、コンディションについては受験日の記事を参照。

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過去問平均19点。レンジ16-21、標準偏差1.6点、平均時間11分。本試19点、11分。
語彙の勉強を一切していないのでバラついているのか、逆に安定しているのかわかりませんが、自分の得点計画上では計算できるパートだと思います。過去問の得点系列は、難易度の若干の低下と、回を重ねるごとに雑になっていったためだと思われます。本番も、その流れでこなしてしまいました。

前の方から素直に読んでいき、( )を通過して最後まで読む。これで意味がほとんど定まります。ほとんど意味だけで決まるので、全文読む必要があります。
選択肢を、その意味に照らしていきます。
考えればわかりそうなものは後で考えることにします。
見たことがない単語が並んでいたら、適当にマークします。4つとも知らないというケースが結構あります。問題文を読む前に一瞥して、適当にマークしてしまうのも一法。
標準時間は11-13分。最悪15分で仕上げます。意味で決まるので、TOEICや旧TOEFLよりも安定するはずです。同じノリで解くことのないよう。

標準時間内で終われば大問2へ。それ以上にかかってしまったら4へ。

大問2

過去問平均4.9点。レンジ3-6、標準偏差1.1。平均時間8分。本試4点、12分。
とりあえずタイトルを見て、本文を上から読んでいきます。( )のある文を終えたところで選択肢を見て解答。後ろを読む必要があることもあります。もし一読して理解できなければ、段落終わりで再読します。文意を押さえることがとにかく重要です。
選択肢は、難易度、正解到達までの所要時間にかなり幅があります。そのため、拘泥すると得点効率がよくないパートなので、流れを重視して先に進むのも一法。文章を読みなれていると、型だけで選択肢を絞れることがしばしばあります。ノリにかまけると痛い目に遭うこともあり、やり過ぎに注意。
文意が掴めていれば、空欄が埋まった時点で、次の段落にまで飛んで問題があることはあまりありません。ただし、段落は頭から読むこと。このショートカットで短縮できる時間は高が知れているので、時間に追われていなければ、粛々と読んでいく方がいいでしょう。
所要時間はかなり不安定です。流れがつかめると読み飛ばさずに3分で答えられる一方、6分かかることもしばしば。それでも13分(大問1から来て25分)くらいで終えたいところ。それくらい時間をかけていれば、後回しにしても忘れることはないので、パスしてもよさそうです。時間を一番気にする必要があるのが大問2です。3、4は時間をかけてでも解答する必要がありますし、かけた時間が得点に跳ね返ってきます。時間に不安を感じているならば、後回しに。大問1から進んできた場合は大問4へ。

大問3

過去問平均17.43点。レンジ12-20、標準偏差2.507.平均時間28分20秒。本試16点、30分。
タイトルを見て、1問目の設問を読み、本文を上から読んでいきます。設問に名前があったらマークします。本文で同じ名前が出てきたら、そこもマーク。当初は何を言ってるのかわからないこともよくありますが、いずれわかりだしてくると信じて淡々と前へ読み進めます。
問題に答えられると思った時点で選択肢を読んでいきます。大問2より対応するところが明確なので、基本的には一定のペースで設問をこなせます。引っ掛けも特になし。ただし、ごく一部、他の英語資格テストでは見られないグレーな解答があります。
内容が既に読めていて、解答も万全なら、その段落は飛ばしても問題はほとんどないですが、時間に追われていない場合は、粛々と1文ずつ読んでいった方がいいでしょう。文章に馴染ませることです。問題をしっかりと考える方法もあれば、文章に馴染むことを考え、ノリで答えていくというのも一法です。後者の方が気楽です。
文章がいつになってもサッパリわからないときは、わかると信じて段落が変わるごとに頭を切り替えます。段落構成がしっかりしているので、一部分がわかっただけでも答えられる可能性は大問2よりもかなり大きいです。
目安の時間は30分。初めの2問を15分、3問目を15分。大問2を既に終えていれば、残り時間と相談して、最低限3問目に20分、2問目に10分を取っておいて目一杯時間を割いて解いていけばいいでしょう。あまり焦らないこと。難しい問題が3つ並ぶことはまずありません。少なくともそう信じます。

大問4

過去問平均所要時間24分15秒。本試16分。
採点されたことがないので詳細はよくわかりません。
ただ、最後にやらないことが重要です。他のパートのように適当にマークすることが出来ないこと、焦ってやるとミスを連発してしまうこと、見直しとの間に時間を空けられること、英作文を意識して英文に触れる機会が持てることがあるためです。個人的には4番目の点を重視して先に取り掛かるようにしています。京大型の入試にも全く使える方法です。
また、眠くなったり、調子に乗れなかったりした場合は、気分を一新するために前倒して先に取り掛かりましょう。能動的な作業を行うことで否応なく集中力が高められます。
見直しが功を奏する、ほぼ唯一のパート。すべて終わったあとに見直すほか、何か発見があれば大問
(2、)3の1文章が終わったところでチェックするのもいいでしょう。
ところで、前回の合格者平均は10点、全受験者平均は9点だったようです。つまり、不合格者平均も9にかなり近いはずです。つまり、英作文抜きで40点台なかばの人でも8点は取っている可能性が高いと推測されます。

筆記1-4を、できれば、15分前には終わらせます。最悪、2分前には解答をやめ、リスニングの大問3の指示文を読みましょう。最大限時間を使えばいいというものではありません。リスニングに向けたコンディショニングも重要なので、身体と相談して筆記のテンションも決めましょう。

先読みは大問3以外は、長い選択肢が見つかった場合、選択肢に固有名詞や数字が入っているような場合に限って十分です。労力の割に点数にはつながりません。

リスニング1

過去問平均8.857点、レンジ6-11、標準偏差1.95。本試11点。
読み上げられている最中は耳に集中しましょう。解答が選びきれなくても、問題ごとに切り替えが重要です。3問くらいなら、後で選択する時間が作れます。会話が短いのので、大問2よりも耳への集中が重要です。

リスニング2

過去問平均9.43、レンジ6-12、標準偏差2.15、本試7点。
要領は読解に準じます。とにかく内容をいち早く掴むことです。うまく掴めると、細かいところはあまり重要ではなくなります。文章構造がしっかりしているので、わかり始めたのがかなり後でも、2問目には解答できるチャンスがかなりあります。話題が転じるのを待ち構えるように、集中力を切らさずにいましょう。
大問2は、1級もそうですが、英語試験で唯一、海外経験よりもワイドショーを見ている方がアドヴァンテージを持つという珍しいパートです。日本で話題になったことが頻繁に登場します。
ここも、聴きながら選択肢を見る必要はほとんどありません。大問3の説明、3の各問の10秒間のインターバルを使ってマークすることが可能です。


リスニング3

過去問平均8.29、レンジ6-10、標準偏差1.8、本試8点。
選択肢が音声の順番に並んでいるので、それを見ながら絞り込んでいきましょう。早めに解答がわかれば、次の問題までに30秒ほどの時間を持つことができます。
ツボがわかりやすく、集中を高めることが出来る一方、そこで会場の雑音が聞こえるとガッカリしますが、決してイラつかないように。
ボーナスパートです。ここで10点取れれば、かなり合格に近づけるので、まぐれ合格にもつながります。リスニング、とくにこのパートは1級との差がほとんどないので、1級の問題もこなしておきましょう。

まとめ
英検準1級で70点くらいを取るには、大学受験程度の英語力と、英語・日本語の経験を積むこと、語彙をひたすら覚えること、リスニングを鍛えることのうち1つ以上をみたすことだと思います。文構造は平明なので、大学受験基準の英語力の程度にはほとんど依存しません。英語の経験を積むことで資格を得ることが健全なのでしょうが、英語に普段接しているだけで語彙でそこそこの点を取るのは、結構面倒です。資格獲得手段としては、語彙とリスニングに手を付けるのが手っ取り早いでしょう。リスニングの大問2だけでなく、読解も含めて、常識の重要性がETSのテストよりもかなり高いと思います。そのため、高校生にはより難しいテストであると思われます。
対策で最も重要なのは、もちろん、過去問です。特に、英検は連続的な点数を競うわけではないので、より重要です。過去問で点数が取れていれば、そのコンディションを作れさえすれば、他にすべきことはありません。必要とするテンション、解答を導くための注意力も規定できるようになります。目標が一つしかなく、問題のレベルも安定しているので、試験場で何をしなければいけないのかを決めることに尽きます。過去問を一生懸命に解けばいいというものではありません。決めた方針を試してみることの方が重要です。英検はリスニングが後にあるので、メンタルの重要性はより高いテストになっています。大問2を捨ててでもリスニングに備えるべき人もいるはずです。